2024年2月2日8日
シモキタ-エキマエ-シネマK2
一週間限定上映

https://k2-cinema.com/

2023年12月2日~
シアター・イメージフォーラム
にてロードショー

https://www.imageforum.co.jp/theatre/

他人と一緒に住むことで浮き彫りになる
人間の欲望は果てしなく切ない

「他者」と一緒に暮らすことによって湧き上がる人間の欲望と、「他者」との摩擦を経て本当の自分の居場所を探し始める人々を描き、演劇界で大きな共感を呼んだ群像劇が、ついに映画化。監督は、本作が長編デビュー作となる異能の劇作家、新鋭・八木橋 努。2015年に八木橋監督の脚本・演出で上演された『俺は見た』第三回公演の演劇を原作とするこの映画は、国籍や人種など、さまざまな属性を持つ多様な人々が共生する日本での公開にあたって、英語字幕付きで上映する。

 駆け出しの美容師<リコ>と鳴かず飛ばずの役者<剛>は、付き合い始めたばかりのカップル。それぞれの自宅には、幼なじみの男<信治>と無職の中年先輩<岩淵>が居候していた。リコと信治の関係を疑い始めると同時に、金をせびる岩淵に嫌気が差した剛は、二人の男を追い出し、リコとの同棲に踏みきる。

 同じ頃、ソーラーパネルの販売代理業で潤沢な生活を手に入れた中年社長<大槻>は、半年前に再婚したばかりの<26歳年下の新妻>に手を焼いていた。彼女のために購入した豪邸に、当の本人が引っ越して来る気配が1ミリもない。

 晴れて同棲生活が始まるも、リコへの思いを一層募らせる剛とはうらはらに、リコの帰宅時間は遅くなり、無断外泊をするようになる。一方、大槻は、新妻を呼び寄せるために、別荘を購入するなど贅を凝らすが、新妻との状況は一向に変わらない。追い打ちをかけるように太陽光バブルが終焉を迎えた頃、大槻と剛の人生が一点で交わり、二人と彼らを取り巻くすべての人々に決断の時が訪れる。

なんだこれは、と最初に呻いた。下衆と呼ぶにはあまりに印象的な人物たち。大震災の余波の中、最もダウン・トゥ・アースな、最も底辺な、最も人間的な映画ではないか。何よりも、主人公の強烈な印象が肌にまとわりついて離れない。類似作品を思い付かない怪作にして、快作だ。

――― 矢田部吉彦 前東京国際映画祭ディレクター

うまくいかない人
うまくいかなくなった人
うまくいかなくなった世界
それを八木橋さんはじっと見ていて、
淡々と表現し続けています。

――― 中島歩 俳優

自分が生きている日常とあまりにも地続きな世界がスクリーンの中に広がっていて、こんなに冷や汗をかきながら観た映画も久しぶりです。登場人物みんな、一人残らず抱きしめたい。

――― 向井康介 脚本家


八木橋さんが自身の劇団でつくる演劇は、舞台上を曖昧な境界線で3つか4つに区切り、異なる場所を同時に見せることが多い。劇団名が〈俺は観た〉ではなく〈俺は見た〉なのは秀逸で、観客は、せりふを喋っている人達がいる空間の奥、あるいは隣のエリアの人達まで、見るとはなしに見てしまう。
観客の集中力を削ぐそんな演出をなぜするか。おそらく、一見無関係の人や出来事もつながりがあり、離れた場所で起きたさざなみが、メインの場所の大きな問題を起こしているのだと、サブリミナル効果のように静かに、けれど生々しく働きかけるためだ。
映画『他人と一緒に住むという事』にそうした演出はないが、その代わり、遠くにありながら登場人物達に常に影響を与えているものがある。東日本大震災だ。恋も仕事も友情も結婚も離婚も再起も失敗も、地震の引力が働いている。
「人生が上手く行かない原因はあなた自身にある」と言いたくなる人達ばかりの物語を少し離れて見てみると、実は大きな震災の映画だった。不器用にも感じられるテンポでこれを成し遂げた八木橋監督に、驚愕している。

――― 徳永京子 演劇ジャーナリスト

森田コウ
(大槻役)

1965年福岡県生まれ。
90年代に舞台演出や俳優として 活動。 99年、元平泳ぎ日本記録保持者不破 央と水中パフォーマンス集団「トゥリトネス」を結成。 全国各地と海外数カ所のプールで公演を行う。 代表作 フジテレビお台場冒険王 「ウォーターボーイズショー」 演出、出演。本作が20年ぶりの俳優復帰作となる。

芦那すみれ
(リコ役)

2011年より「bomi」名義でソロシンガーとして活躍、2012年にメジャーデビュー。音楽活動を行う中で演技に興味を持ち、2015年にPARCOが主催する21世紀の女優発掘プロジェクト舞台「転校生」で、約70倍という倍率のオーディションを勝ち抜く。翌年、行定勲監督の作品ではヒロインに抜擢。以降映画を中心にさまざまな作品に出演。近年では、多数のCMにも出演している。

山下剛史
(剛役)

1971年生まれ。
大学時代をアメリカ、コロラド州デンバーで過ごすし音楽に傾倒。 帰国後、小劇場での演劇活動や様々な音楽活動を経て自身のソロプロジェクト『Blues No More!!!』をstart。代表曲「真夜中の太陽」が本作のエンディングテーマとなる。2018年にFull Album,2019年にMini Album をリリース。都内中心に活動を行なっている。映画は初出演となる。

若松朋茂
(信治役)

1988年青森県生まれ
沖縄県立芸術大学で油絵を学ぶが、その後上京し俳優活動を開始。主な出演作として舞台、俺は見た「ニュータウンの影」(演出 八木橋努)、木下歌舞伎「心中天の網島」(演出 糸井幸之介)など。劇中で使われている絵は自身の作品である。

裕紀yuki
(舞子役)

1989年9月生まれ。
鳥取県出身。
松江市でカフェギャラリーを営む傍ら、地域の文化発信に携わる。広告, ファッションショー, 映画出演ほか領域を限定せず活動中。カフェギャラリーの看板メニューはスパイスの効いたカレー。

橋本利明
(岩淵役)

1963年神奈川県生まれ。
1986年から2000年まで劇団水曜座に所属。小劇場において100本以上の作品に出演。主な出演作として舞台、俺は見た「ニュータウンの影」「僕らの城」など。

監督・脚本 八木橋努 
1969年5月、宮城県生まれ
1997年より俳優活動を開始。主な出演作に映画「ゼンタイ」「恋人たち」(いずれも橋口亮輔監督の作品)。その後俳優活動を終了し、2013年に「俺は見た」を立ち上げ、劇作家、演出家として活動を開始。多様化が進む現代社会で他者理解に苦しんでいる人たち、もがいている人たちを群像劇で描く。2022年、『俺は見た』第五回公演の「僕らの城」で第28回劇作家協会新人戯曲賞最終候補。2023年12月より、長編映画監督デビュー作『他人と一緒に住むという事』が日本で公開される。

『俺は見た』公式ホームページ
http://orewamita.com/

撮影 石井康幸
1990年渡仏、2000年帰国後 東京にてフリーカメラマンとして活動開始する。雑誌、広告、ミュージシャン、女優の写真集等の撮影を行うと同時に、2013年よりムービーカメラマンとしての活動も開始する。2012年5月 岩佐真悠子写真集「Mayuko1/4 」ワニブックス刊の発表と同時に原宿にて初の写真展開催。2017年6月 ミュージシャン中村 翔 MV「I’m waiting for you」撮影をはじめ、近年、ドキュメンタリー作品を中心に作品制作を進め長編初作品として、本作品の撮影を担当する。

監督・脚本・編集
八木橋 努

出演
森田コウ、芦那すみれ
山下剛史、若松朋茂

裕紀yuki、橋本利明
 
2023年 | 日本 | 106分 | 日本語 | カラー
アメリカンビスタ | ステレオ | DCP
製作:群像 | 撮影 :石井康幸 | 録音:遠藤大介
整音:駒澤大介 | カラリスト:大地裕介
英語字幕翻訳:岸 由利子 | 配給:群像


主題歌「真夜中の太陽」BLUES NO MORE!!!
作詞 山下剛史/作曲 BLUES NO MORE!!!